世界は

レーダーで見ると
県境に沿って青い帯が広がっている
稜線に広がる樹々に
雨が降っているのだ

だてには線を引いてないのだ
私は液晶の画面を見ながら
思いを世界に馳せる

けれど地図を見ると
世界は
いかにも恣意的に引いたのだという線が
国と国
民族と民族をへだて
日々の平和に裂け目を作っている

この中に
アフガンがあり
ソマリアがあり
アラブの憎しみがあり
傷ついた世界がある

そして
私は思うのだ

いつの日か
大地を形づくる山脈(やまなみ)や
河の流れにより区切られた境界線をのみ
私たちの国境あるいは地域界とする
地図と世界を

私たちは
手にすることがあるだろうか

こんなに瞬時に
世界が手元に引きつけられ
探索できる
二十一世紀になってしまったというのに